介護保険|福祉用具(介護用品)のレンタルや購入について詳しく解説!
介護が始まると、今までの生活では利用する機会のなかったものが必要になってきます。介護で利用する用具は、一般的ではないものや特殊なものが数多くあります。いざ用意するとなると、何をどうしたらよいのかわからなくて頭を悩ます人は多いのではないでしょうか。
購入かレンタルのどちらにするかで迷ったり、購入やレンタルができる場所を探したりと、最初はわからないことだらけだと思います。仮にこれらの問題が解決しても、福祉用具が高額で手が出せなかったりレンタルであっても費用がかさんだりするなど、さまざまな問題に直面するかと思います。
そんな時に利用したいのが、介護保険サービスです。介護保険サービスは、福祉用具(介護用品『以下、福祉用具で統一』)のレンタルや購入を強力にサポートしてくれます。介護保険を使うことで、利用者や家族の負担が軽減される可能性はぐんと高くなるでしょう。
この記事では、そんな福祉用具のレンタルや購入で利用できる介護保険サービスを詳しく解説していきます。上述のような悩みを抱えている人や、これから介護が始まる人などにおすすめの記事です。介護の負担を減らすためにも、介護保険サービスを上手に使いこなしましょう。
介護保険のことがよくわからない人は、こちらの記事をご覧ください。
- 福祉用具のレンタルで悩んでいる人
- 福祉用具の購入で悩んでいる人
- 福祉用具貸与(レンタル)について知りたい人
- 特定福祉用具販売について知りたい人
- 介護を始めたばかりの人
- これから介護を始める人
- 介護保険サービスを活用したい人
「介護用品・福祉用具」とは
介護保険でいう福祉用具とは「要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具」とされています。
要は、要介護者が日常生活を送るための補助器具のような用具のことをいいます。それに対して、介護用品は、介護をする側が利用する用具(オムツや口腔ケア用品など)全般のことをさしていうことが多いです。
利用者としては、介護用品も福祉用具も意味合いとしては同じものと考えて問題ありませんが、介護用品は一般的な言い方で福祉用具は介護保険で扱うような用具をさす時に使う名称、というイメージで理解しておくとよいでしょう。
介護保険のレンタルや購入で扱う用具は、福祉用具と呼べばOKだよ
(事項から『福祉用具』で統一)
介護保険の福祉用具サポート
介護保険サービスを利用すると、介護に必要な用具のレンタルおよび購入について金銭的なサポートが受けられるようになります。ただし、おむつや尿取りパッド、口腔ケア用品などの介護用品は基本的に対象外(市区町村により条件付きで助成しているところもあります)になります。
福祉用具のサポートは、要介護認定で要支援または要介護と認定された人が受けることが出来ます。
オムツや尿取りパッドなどの消耗品は対象外ですよ
福祉用具のレンタル
福祉用具のレンタルは、介護保険サービスの「福祉用具貸与」という項目がそれにあたります。
介護に必要な用具がレンタルできるサービス(※レンタル自体は介護保険を利用しなくてもできます)というわけではなく、レンタルにかかる費用を介護保険で補助するサービスです。これにより、介護に必要な用具をレンタルする費用負担が大きく軽減されます。
レンタルにかかる費用を補助するサービスってことだね
レンタル(貸与)費用
レンタルの費用が1~3割負担(基本1割負担、一定所得以上で2割もしくは3割負担)になります。
ただし、無制限に費用の補助を受けられるわけではありません。要介護度に応じて介護保険サービスの給付額(区分支給限度額)は決まっています。区分支給限度額は、レンタル費用と他の介護サービスの費用を合算して計算するので、利用の際はそのあたりのバランスを考える必要があることに注意しましょう。
福祉用具貸与と他の介護サービスの利用限度額は、同じ枠内で計算されます
レンタル(貸与)の種類と対象者
福祉用具のレンタルは、各種目ごとに利用できる対象者(要支援・要介護)が決まっています。
種目と対象者については、下記の表(厚生労働省告示より抜粋)に示す通りです。
種目 | サービス対象者 | 機能・構造 | |||||
要支援 | 要介護 | ||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |||
車いす | 自走用標準型車いす、普通型電動車いす又は介助用標準型車いすに限る | ||||||
車いす付属品 | クッション、電動補助装置等であって、車いすと一体的に使用されるものに限る | ||||||
特殊寝台 | サイドレールが取り付けてあるもの又は取り付けることが可能なものであって、次に掲げる機能のいずれかを有するもの 背部又は脚部の傾斜角度が調整できる機能 床板の高さが無段階に調整できる機能 | ||||||
特殊寝台・付属品 | クッション、電動補助装置等であって、車いすと一体的に使用されるものに限る | ||||||
床ずれ防止用具 | 次のいずれかに該当するものに限る 送風装置又は空気圧調整装置を備えた空気マット 水等によって減圧による体圧分散効果をもつ全身用のマット | ||||||
体位変換器 | 空気パッド等を身体の下に挿入することにより、居宅要介護者等の体位を用意に変換できる機能を有するものに限り、体位の保持のみを目的とするものを除く | ||||||
手すり | 取付けに際し工事を伴わないものに限る | ||||||
スロープ | 段差解消のためのものであって、取付けに際し工事を伴わないものに限る | ||||||
歩行器 | 歩行が困難な者の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するものであって、次のいずれかに該当するものに限る 車輪を有するものにあっては、体の前及び左右を囲む把手等を有するもの 四脚を有するものにあっては、上肢で保持して移動させることが可能なもの | ||||||
歩行補助つえ | 松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ及び多点杖に限る | ||||||
認知症老人徘徊感知機器 | 介護保険法第五条の二第一項に規定する認知症である老人が屋外へ出ようとした時等、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの | ||||||
移動用リフト (つり具の部分を除く) | 床走行式、固定式又は据置式であり、かつ、身体をつり上げ又は体重を支える構造を有するものであって、その構造により、自力での移動が困難な者の移動を補助する機能を有するもの (取付けに住宅の改修を伴うものを除く) | ||||||
自動排泄処理装置 | 排便機能あり | 尿又は便が自動的に吸引されるものであり、かつ、尿や便の経路となる部分を分割することが可能な構造を有するものであって、居宅要介護者等又はその介護を行う者が容易に使用できるもの (交換可能部品(レシーバー、チューブ、タンク等のうち、尿や便の経路となるものであって、居宅要介護者等又はその介護を行う者が容易に交換できるものをいう)を除く) | |||||
それ以外のもの | |||||||
福祉用具のレンタルは、各種目ごとに利用できる対象者(要支援・要介護)が決まっています。
種目と対象者については、下記(厚生労働省告示より抜粋)に示す通りです。
- 車いす
-
自走用標準型車いす、普通型電動車いす又は介助用標準型車いすに限る
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 車いす付属品
-
クッション、電動補助装置等であって、車いすと一体的に使用されるものに限る
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 特殊寝台
-
サイドレールが取り付けてあるもの又は取り付けることが可能なものであって、次に掲げる機能のいずれかを有するもの
背部又は脚部の傾斜角度が調整できる機能
床板の高さが無段階に調整できる機能
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 特殊寝台・付属品
-
クッション、電動補助装置等であって、車いすと一体的に使用されるものに限る
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 床ずれ防止用具
-
次のいずれかに該当するものに限る
送風装置又は空気圧調整装置を備えた空気マット
水等によって減圧による体圧分散効果をもつ全身用のマット
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 体位変換器
-
空気パッド等を身体の下に挿入することにより、居宅要介護者等の体位を用意に変換できる機能を有するものに限り、体位の保持のみを目的とするものを除く
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 手すり
-
取付けに際し工事を伴わないものに限る
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- スロープ
-
段差解消のためのものであって、取付けに際し工事を伴わないものに限る
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 歩行器
-
歩行が困難な者の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するものであって、次のいずれかに該当するものに限る
車輪を有するものにあっては、体の前及び左右を囲む把手等を有するもの
四脚を有するものにあっては、上肢で保持して移動させることが可能なもの
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 歩行補助つえ
-
松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ及び多点杖に限る
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 認知症老人徘徊感知機器
-
介護保険法第五条の二第一項に規定する認知症である老人が屋外へ出ようとした時等、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 移動用リフト
(つり具の部分を除く) -
床走行式、固定式又は据置式であり、かつ、身体をつり上げ又は体重を支える構造を有するものであって、その構造により、自力での移動が困難な者の移動を補助する機能を有するもの
(取付けに住宅の改修を伴うものを除く)
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
- 自動排泄処理装置
-
尿又は便が自動的に吸引されるものであり、かつ、尿や便の経路となる部分を分割することが可能な構造を有するものであって、居宅要介護者等又はその介護を行う者が容易に使用できるもの
(交換可能部品(レシーバー、チューブ、タンク等のうち、尿や便の経路となるものであって、居宅要介護者等又はその介護を行う者が容易に交換できるものをいう)を除く)
要支援 | 要介護 | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
排便機能あり | |||||
それ以外のもの | |||||
福祉用具の購入
福祉用具の購入は、介護保険サービスの「特定福祉用具販売」という項目がそれにあたります。
福祉用具ならなんでも購入可能というわけではなく、入浴や排せつなどで利用するようなレンタル(貸与)に合わないものが対象となっています。
購入の対象者
要介護認定を受けたすべての人(非該当除く)が購入可能です。
つまり、要支援1、2と要介護1~5までの要介護度の人が対象になります。
要介護は「特定福祉用具販売」という名称ですが、要支援は「特定介護予防福祉用具販売」と名前が少し違うことに注意しましょう。
すべての要介護度で利用可能ってことだね
購入費用
毎年4月1日から翌年3月末日までの1年間で10万円(税込)を限度に購入可能です。
(※ 給付額(払戻額)が10万円ではなく、購入金額が10万円であることに注意)
購入金額の1割を自己負担(一定低所得以上は2割もしくは3割負担)する必要があります。
流れとしては、福祉用具購入の際にまず利用者が全額を支払います。その後「福祉用具購入費支給申請書」を市区町村の窓口で申請すると9割(一定所得以上は8割もしくは7割)が払い戻されます。
福祉用具の購入金額が1割(1年間で10万円まで)になる介護サービスと理解しておくとよいでしょう
販売の種類
種目については、下記の表(厚生労働省告示より抜粋)に示す通りです。
種目 | 機能・構造 |
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腰掛便座 | 次のいずれかに該当するもの 和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの 洋式便器の上に置いて高さを補うもの 電動式またはスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能があるもの 便座、バケツ等からなり、移動可能である便器(居室で利用できるもの) |
自動排泄処理装置の 交換可能部品 | 自動排泄処理装置の交換可能部品のうち、居宅要介護者または介護者が容易に交換できるもの |
排泄予測支援機器 | 利用者が常時装着した上で、膀胱内の状態を感知し、尿量を推定するものであって、一定の量に達したと推定された際に、排尿の機会を居宅要介護者等又はその介護を行う者に自動で通知するもの (専用ジェル等装着の都度、消費するもの及び専用シート等の関連製品は除く) |
入浴補助用具 | 座位の保持、浴槽への出入り等の入浴に際しての補助を目的とする用具であって、次のいずれかに該当するもの 入浴用椅子 (座面の高さが概ね35cm以上のものまたはリクライニング機能を有するもの) 浴槽用手すり (浴槽の縁を挟み込んで固定することができるもの) 浴槽内椅子 (浴槽内に置いて利用することができるもの) 入浴台 (浴槽の縁にかけて浴槽への出入りを容易にすることができるもの) 浴室内すのこ (浴槽の中に置いて浴槽の底面の高さを補うもの) 浴槽内すのこ (浴槽の中に置いて浴槽の底面の高さを補うもの) 入浴用介助ベルト (居宅要介護者等の身体に直接巻き付けて使用するものであって、浴槽への出入り等を容易に介助することができるもの) |
簡易浴槽 | 空気式または折りたたみ式等で容易に移動できるものであって、取水または排水のために工事を伴わないもの |
移動用リフトの つり具部分 | 身体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なもの |
種目については、下記(厚生労働省告示より抜粋)に示す通りです。
腰掛便座 |
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次のいずれかに該当するもの 和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの 洋式便器の上に置いて高さを補うもの 電動式またはスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能があるもの 便座、バケツ等からなり、移動可能である便器(居室で利用できるもの) |
自動排泄処理装置の交換可能部品 |
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自動排泄処理装置の交換可能部品のうち、居宅要介護者または介護者が容易に交換できるもの |
排泄予測支援機器 |
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利用者が常時装着した上で、膀胱内の状態を感知し、尿量を推定するものであって、一定の量に達したと推定された際に、排尿の機会を居宅要介護者等又はその介護を行う者に自動で通知するもの (専用ジェル等装着の都度、消費するもの及び専用シート等の関連製品は除く) |
入浴補助用具 |
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座位の保持、浴槽への出入り等の入浴に際しての補助を目的とする用具であって、次のいずれかに該当するもの 入浴用椅子 (座面の高さが概ね35cm以上のものまたはリクライニング機能を有するもの) 浴槽用手すり (浴槽の縁を挟み込んで固定することができるもの) 浴槽内椅子 (浴槽内に置いて利用することができるもの) 入浴台 (浴槽の縁にかけて浴槽への出入りを容易にすることができるもの) 浴室内すのこ (浴槽の中に置いて浴槽の底面の高さを補うもの) 浴槽内すのこ (浴槽の中に置いて浴槽の底面の高さを補うもの) 入浴用介助ベルト (居宅要介護者等の身体に直接巻き付けて使用するものであって、浴槽への出入り等を容易に介助することができるもの) |
簡易浴槽 |
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空気式または折りたたみ式等で容易に移動できるものであって、取水または排水のために工事を伴わないもの |
移動用リフトのつり具部分 |
---|
身体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なもの |
まとめ
以上で、福祉用具(介護用品)のレンタルと購入についての解説は終わりです。
介護保険を利用した福祉用具のレンタルや購入については、要介護認定で要支援もしくは要介護に認定される必要があります。介護保険サービスの恩恵は思っているよりも大きなものです。申請や認定作業などいろいろと面倒に思うかもしれませんが、できるだけ介護保険を利用することをおすすめします。
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